有機農産物

有機農業の認知度が高まるにつれ、スーパー等でJAS認定マーク付きの商品を目にする事が多くなった。食材によっては、大手食品メーカーの商品も売られており、有機加工食品の市場拡大には驚くばかりである。経験から言わさせていただくと、つい4~5年前には考えられなかったことである。とりあえずこの傾向は歓迎したい。過去に、有機農業に取り組む農家が村八分になったとかいう話も聞いた事があるが、現在では認知度も上がり、そうした声も滅多に聞かなくなった。

大手食品メーカーによる、表示詐欺が話題になってから数年、有機JASマークが流行っている。有機農業は儲かると聞きつけて、農薬散布をやめて、有機農業に切り替えた農家も出てきた。しかし、悲しいことに長続きする農家はそう多くは無い。近在の農家も「割りにあわない」と手を引いていった。有機農業は割に合わない、そうした風潮があるのもまた事実だ。何が割りにあわないのか?一つは価格である。有機農業は、元々農薬散布をあまり必要としない作物を除けば、とんでもない重労働を必要とする。毎日の草取りや、果樹ならカイガラムシを手ではらったりだとか、毎日作物とにらめっこしなければならない。それでいて、価格は、労働量に見合う程高くは売れない。気象の影響や害虫発生で、収穫できなければその年は見事に食いっぱぐれてしまう。どんなに有機農業が流行っても変わらないものが一つだけある。強い信念がなければ、持続可能な有機農業の実現は不可能だということだ。

持続可能な有機農業を目指す農家を脅かすものがある。それは輸入された有機農産物と加工食品である。農林水産省は、日本の有機農産物の規格をクリアしていれば、輸入農産物にもJASマークがつけられるとしているのである。この姿勢は一つの現実を教えてくれる。現実とは、有機農産物であっても安い輸入作物に依存する、つまりJAS法は日本の農家のためには存在しないということである。国産の有機農産物は本当に増えていくのだろうか?有機農産物が良く目につくようになったにもかかわらず、そうした不安が日々頭をよぎる。