沖縄での内部被曝を考える 2012.02.08

沖縄そばから放射性セシウムが検出された。厚生労働省が発表した値は、セシウム134が112Bq/kg、セシウム137が146Bq/kg、計258Bqだった。また、この発表には「非流通品」とあり、さらに「放射線量の高い薪の灰をろ過した水をかんすい代わりに添加した食品」とあった。つまり、木灰そばと呼ばれるものだ。 沖縄そばは、かんすいを一般に使用しているのだが、昔かんすいを使用する以前は、つなぎとして、水に溶かした木灰の上澄みの液を使っていた。この古くからの製法で現在も製造されているそばが木灰そば、と呼ばれている。

厚生労働省の発表を私が知ったのは2月7日の夜だった。その前日には、福島産の薪が岐阜の業者を通じて沖縄へ流通、使用されていたという報道があり、様々な憶測がなされた。その時、沖縄そばにも使用されているのでは、との意見があったが、私は否定的だった。というのも、私の知る沖縄そば店は、ガジュマル等、沖縄の木を使用しているのである。そして、使用する木の種類によって風味も変わってくると聞いたことがある。木灰そのものを、木を長期間乾燥させ燃やして作る。こだわりもあるし、何より、本州の木を使っては風味が全く違うだろうと私は考えていたのだ。さらには、そもそも薪は灰にしなければ使えない。だから県外から仕入れるのであれば、薪を使用した後の灰だけを仕入れた方が、流通コストも明らかに得である。薪を仕入れるのは「薪として使う場所」であろうと考えたとき、そば屋は、私の思考から除外された。 だが、沖縄そばから検出された。何故そばから検出されたのか。今度はその疑問で、私は思考を失った。

翌日、沖縄タイムスと琉球新報が、この件に関する記事を掲載し、午後にはNHK沖縄も「薪から基準超放射性セシウム」と題して報じた。(NHK沖縄の記事は最後に引用しておく) これらの報道によれば、すでに1800食が販売されたそうである。そこでもう一つ疑問が浮かんだ。厚生労働省のリストにあった「非流通品」という言葉である。消費者が食べてしまっているのに、非流通とはどういう事なのだろうか?小売されていなければ非流通で、飲食店での提供とは別なのだろうか。だとするならば、これまで「非流通」と発表されてきたものはどうなのであろうか?この疑問は後日問い合わせてみたいとのだが、まともな答えは期待できないだろうとも思えた。 いずれにしても、沖縄そばから検出された理由は記事から知り得た。矢張り薪はピザなど窯で焼き上げる時に薪として使用されたのである。そしてその窯に残った灰が製麺業者へと渡ったのだ。

沖縄そばは、沖縄県民ほとんどが食するものであるので、セシウムの検出は衝撃だった。同時に、沖縄そばの木灰に県外の木を使うこともあるのだということも衝撃であった。

内部被曝について考える時、私は「沖縄だからこそ気をつけよう」と呼びかける。この意味は、福島から遠いことで事故を意識しにくい、ということだけではなく、事故以前より沖縄には県外から安いものが流通してきているからである。冷凍サンマの解凍品は年中スーパーで売られている。どのスーパーにも複合米が売られ、安くて味も悪くないので、売れ行きも良い。巷にはお弁当屋がたくさんあり、400円という安さで特大の弁当が購入でき、使われている食材の産地はわからない。勿論、全国展開で流通している加工食品もあるのだし、内部被曝に関して言えば、沖縄でのリスクは、他県とほとんど変わらないのではないかと、私は感じている。

また、沖縄だからこそ気をつけよう、というのは、私の願望でもある。沖縄には原発が無い。沖縄で生れ育った人皆、原発が生み出した灯りの下で育っていないのである。沖縄の人が被曝してしまうのは、不公平の極みである。だから声を大にして言いたいのだ。「沖縄だからこそ気をつけよう」と。そこで私は、食に関する業者の皆さんには、これまでの意識をほんの少し「安全」に向けて欲しいと願うのである。検査体制の確立などが騒がれており、勿論大切なことではあるけれども、食の安全を担うのは検査機関ではなく、沖縄の業者の皆さんであり、根本はその意識である。

【NHK沖縄による報道 02月08日12時32分】
沖縄県内の飲食店で沖縄そばのつなぎやピザを焼く燃料として使われた福島県産のまきから、国の基準値を超える放射性セシウムが検出されたことが分かりました。 国の基準値を超える放射性セシウムが検出されたのは、沖縄本島にある沖縄そば屋とピザを提供するレストラン3店舗のあわせて4つの飲食で使用された福島県産のまきです。 このまきは、岐阜県内の業者が購入して、去年11月に沖縄県内に出荷したもので、自主的な検査をしたレストランからの情報提供で、沖縄県が流通が確認された4つの店で検査を行いました。 その結果、店に残っていた灰からは国の基準値の1キロあたり8000ベクレルの5倍近い3万9960ベクレルの放射性セシウムが検出され、まきからも、国の基準値の1キロあたり40ベクレルのおよそ11倍の468ベクレルの放射性セシウムが検出されました。一方、この灰をつなぎとして使った沖縄そばからは、国の食品の基準値を下回る258ベクレルの放射性セシウムが検出されました。このそばは、2か月間でおよそ1800食が販売されたということです。 沖縄県は人体に影響はないレベルだとしていますが、このまきを利用した沖縄そばやピザなどを客に提供しないよう求めたほか、灰については、今後国に処分を依頼するということです。 沖縄県によりますと、県内に流通したまきは、あわせて15.7トンで、使われていない8トンの薪は岐阜県の業者が回収するということです。